静電容量測定と充電電流現地計算
高圧ケーブルの竣工試験(耐圧試験)に臨む際、気になるのは充電電流。
ケーブルの太さと長さが分かれば事前に大体の大きさを計算できますが、時間がなかった、そもそも情報がないなどで計算しないで耐圧試験に臨む際、簡易ではありますが計算する方法もあるのでメモとして置いておきます。あくまで参考程度。
1.事前に計算する方法
ケーブルの太さと距離(長さ)が分かれば計算できます。
詳しくは過去記事参考してください。
2.現地で計算する方法(実測値使用)
まずはおさらいから。
I=2πfCV ・・・①式
I=充電電流 [A]
π=円周率(3.1415...)
f=周波数 [Hz]
C=高圧ケーブルの静電容量 [F]
V=試験電圧 [V]
ここでの変数はCの静電容量のみ。
※f=電源周波数(50Hz or 60Hz)、V=10350V。
つまりCの静電容量が分かればいいわけです。
簡単に測定できるのはテスターですね。
測定の方法は
1. ケーブルの3線を短絡する。
2. テスターの静電容量モードでケーブル側と対地(アース)側で測定する。
3. 測定した静電容量の値を使い①式で計算する。
例
上記の方法で測定した結果が 0.04 [μF] だったとします。
I=2πfCV [A] ( [Hz]×[F]×[V] )
=2 × 3.1415 × 50 × (0.04×0.000001) × 10350
=0.130 [A]
=130 [mA]
3.応用
これは例えばケーブルとキュービクルの高圧機器を一括で試験したいときも使えます。
高圧ケーブルとキュービクル高圧機器をカット線(ジャンパ線)などで繋げて測定すれば対象となる設備全部の静電容量がわかるからです。
またあまりないケースですが、ケーブルの長さがわからないといったときに静電容量を実測して、ケーブルの静電容量カタログスペックから逆算することもできます。
(たいていは工事店さんに聞けば、用意したケーブルと残りのケーブルからだいたい○○m使ったかなぁと教えてくれます。)
ただし注意したいのは、最近のケーブルは性能がいいのかそこまで充電電流が流れないイメージがあるので、静電容量の実測値も小さく出ているかもしれません。参考程度にするといいでしょう。