電気管理の備忘録

現場の第三種電気主任技術者の日常メモ

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混触防止板つき変圧器

電気主任技術者として電気設備の保安管理を行っている中で、業務の一つとして漏電監視・漏れ電流の測定があります。

月次点検でクランプ等を用いて測定していますが一般的に測定個所はB種接地線です。

ただ問題なのが今回の混触防止板つき変圧器。

混触防止板に接地はついていますが理論上そこに漏れ電流は流れません。

どうしようか?そもそも混触防止板は何種?と思ったので少し調べました。

 

1.混触防止板つき変圧器とは

一般的な変圧器では、変圧器の内部故障などにより高圧側と低圧側が接触し低圧電路側に高圧が侵入することで低圧側に高電圧が出てしまうことを防ぐために、変圧器二次側(低圧側)の中性点にB種接地工事を行うことが規定されています。

 

この場合当然低圧回路で漏電があった場合は漏れ電流が流れますし、そこの回路に漏電遮断器がついていれば動作して一部停電になります。

 

しかし医療機器など停電を避けたいものがある場合はそれだと困ります。そこでそもそも漏洩電流が流れないように低圧電路を非接地にすることもできます。

そのときに使用されるのが高圧巻線と低圧巻線との間に金属製の板を設け、変圧器内部故障の際に高圧が直接低圧巻線に侵入しない構造をもった混触防止板付の変圧器となります。(電技24条より)

 

2.構造・特徴・用途

構造

まず変圧器ですが簡単に言うと鉄心に巻線を巻いたものです。高圧側巻線と低圧側巻線の巻数比によって電圧が変わります。その巻線の間に銅板等で静電遮蔽を施し変圧器内部の混触を防止できる板(混触防止板)を設置したのが混触防止板つき変圧器です。

混触防止板にはB種接地、変圧器本体にはA種接地を施すことが規定されています。(電技17条)

 

特徴・用途

まず1つ目の特徴ですが、非接地回路になるという点です。

そのため絶縁不良の回路が発生してもそのときに大きな漏洩電流は流れません。(流れるとしたらその回路にある静電容量分の電流※微少)

2つ目は高圧側から侵入するサージ電圧を小さくできる点です。

混触防止板があることで高圧側の雷インパルスなどによる低圧側の異常電圧抑制効果があります。

用途は様々ありますが非接地であることを求めるところ、例えば危険なガス蒸気などを扱う工場、医療用機器などがある病院などでしょうか。

 

3.地絡保護について

混触防止板つき変圧器の接地はB種であるとはいえ非接地のため漏洩電流は流れません。停電して絶縁抵抗測定をするまで地絡しているかどうかの判別は難しくなります

。そこで非接地でも地絡をわかるようにしたい、漏電遮断器が動作するようにしたい、実際の漏れ電流を測りたいなどがある場合には接地補償用コンデンサを低圧回路に取りつけるという方法もあります。

非接地回路では地絡しても回路ができないため漏洩電流が流れないところを、接地補償用コンデンサを取り付けることで戻り用の道を作り回路を成立させることで地絡検知ができるようにするというものです。

 

まとめ

特に理由がない限りは混触防止板つき変圧器は使わなくてよさそうです。

どうしても漏電監視がしたい場合は接地補償用コンデンサを使用するのがよさそうですが、非接地のメリットがなくなってしまうと感じました。

 

 

■ 一言メモ ■ ・混触防止板の接地線はB種接地。
・絶縁監視には接地補償用コンデンサを使用しELRを動作させるようにする。
・漏れ電流管理が難しい。